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2023年3月号

ニューストピックス


■期間徒過後の救済規定に係る回復要件を緩和(特許庁)
■原出願が審判係争中の分割出願に対する審査中止の運用開始
■特許非公開制度の指針案を策定(政府)
■ルブタンの赤い底靴、色彩商標の登録認めず(知財高裁)
■特許庁と農林水産省がコラボ動画の第2弾を作成

●期間徒過後の救済規定に係る回復要件の緩和(特許庁)
本年4月1日付で一部が施行される、特許法等の一部を改正する法律(令和3年法律第42号)により、期間徒過後の救済規定に係る回復要件が「正当な理由があること」から「故意によるものでないこと」に緩和されます。なお、「故意でない基準」による救済の場合、新たに創設される回復手数料の納付が必要になります。

詳細は特許庁のウェブサイト<期間徒過後の救済規定に係る回復要件が「正当な理由があること」から「故意によるものでないこと」に緩和されます | 経済産業省 特許庁でご確認ください。

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/kyusai_method2.html

なお、施行日である令和5年4月1日以降に手続期間を徒過した手続が「故意でない基準」によって救済される対象になり、令和5年3月31日以前に手続期間を徒過した手続については、従来から実施されていた「正当な理由があること」が回復要件になります。

●原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用を開始(特許庁)
二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願にする分割出願は、明細書等の補正をすることができる時又は期間内、特許査定謄本送達後30日以内、最初の拒絶査定謄本送達後3カ月以内のいずれかのときに行えるようになっています(特許法第44条)。特許庁は、原出願の拒絶査定後、拒絶査定不服審判請求にあわせて分割出願が行われたものであって、所定の期間内に、出願人又は代理人から所定の申請が行われた案件について、特許法第54条第1項を適用し、原出願の前置審査又は審判の結果が判明するまで当該分割出願の審査を中止する運用を本年4月1日から開始すると公表しました。「原出願の拒絶査定後、拒絶査定不服審判請求にあわせて分割出願されたものについては、原出願の前置審査又は審判の結果を踏まえて当該分割出願の審査をする方が便宜である場合があり」、また、「出願人にとって、原出願の拒絶査定不服審判の結果を踏まえて分割出願の対応を検討できることは、より効率的かつ効果的な出願戦略の構築につながると期待される」からであるとしています。特許庁ウェブサイト<原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用について | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)>には4月1日からの取り扱いが以下のように図解されています。



上述した取り扱いの対象となる出願は、令和5年4月1日以降に審査請求がされた審査着手前の出願であって、以下の(1)~(3)の全ての要件を満たす特許出願であるとされています。

(1)原出願の拒絶査定後に分割された分割出願であること
(2)原出願について拒絶査定不服審判請求がされており、原出願が前置審査又は拒絶査定不服審判に係属中であること
(3)原出願の前置審査又は審判の結果を待つことが便宜であるもの

●特許非公開制度の指針案を策定(政府)
政府は、昨年成立した経済安全保障推進法に基づき、安全保障にかかわる先端技術の「特許非公開制度」に関する指針案を策定しました。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/r5_dai5/siryou4.pdf

特許は原則、出願1年6カ月後に公開されますが、経済安保法では、安全保障にかかわる先端技術の流出を防ぐため、新設する審査組織が「保全指定」すれば、特許を非公開にすると規定しています。指針案では、安全保障上の懸念から非公開とすべき発明として、安全保障に「多大な影響を与え得る最新技術」を保全指定の対象とし、「極超音速兵器の推進技術」や「宇宙・サイバーなどの最新技術」などを例示しました。指針案では、特許出願の非公開によって外国などへの出願も禁止されることで、出願した人が通常生ずべき損失を補償するなどとしています。出願した人の損失がどのようなケースで補償されるのか、今後、補償の対象となり得る損失例について、別途Q&A等の形で示す方針です。

●ルブタンの赤い底靴、色彩商標の登録認めず(知財高裁)
フランスの高級靴ブランド「クリスチャン ルブタン」が、赤い靴底(レッドソール)の赤色を「色彩商標」(色彩のみからなる商標)として商標登録を求めた裁判で、知財高裁は、ルブタンの請求を退けました。ルブタンは2015年4月、特許庁に商標登録出願(商願2015-29921)をしましたが、拒絶されました。これを不服として審判請求をしましたが、2022年5月にも「色彩としてはありふれたもの」などとして、請求は退けられました。それを受け、知財高裁に対して審決の取り消しを求める訴訟を起こしていました。ルブタンの「レッドソール」は表示位置(靴底)は特定されているものの、文字や図形と組み合わせたものではなく、輪郭のない単一の赤色のみで構成されています。知財高裁は、ルブタンの「レッドソール」は、色彩のみの商標として登録するほどの知名度(使用による識別力)がないと判断。また、赤色は色彩としてはありふれたもので、靴底を赤色にするのは、多くの事業者で使用されているデザイン手法であり、第三者による使用を不当に制限することは、「公益上も支障がある」などとして、ルブタン側の請求を棄却しました。色彩商標は2014年の商標法改正によって新たに登録の対象となりましたが、現時点でも登録例は9件しかありません。MONOの消しゴム、セブンイレブンの看板、チキンラーメンのパッケージなどで、登録された9件は、すべて複数の色の組み合わせの商標であり、単独の色だけで登録できた事例はまだありません。

(商願2015-29921)
●特許庁と農林水産省がコラボ動画の第2弾を作成
特許庁は、農林水産省YouTubeチャンネルBUZZ MAFFと連携し、「農業」の切り口から知的財産権について紹介するコラボ動画の第2弾を作成しました。農産物と関連の深い知的財産権として、前回のコラボ企画では詳しく紹介できなかった特許庁所管の「地域団体商標」と、農林水産省所管の「地理的表示(GI)保護制度」についても紹介しています。

詳細は特許庁HP
https://www.jpo.go.jp/news/koho/info/buzzmaff_collabo-2.html

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